アラカンの逝く前に行ってみた

主に美術館巡りかな

71. 人類が滅んでもしばらくは残るかも - 大塚国際美術館(徳島県鳴門市)

 6月の札幌・小樽観光に引き続き、コロナ第7波が収まるのを待って1泊旅行に行っていきました。待ちすぎて第8波入りの気配もあってチョット焦っちゃいましたが、行く先々で「毎日が日曜日」なアラカンのお仲間世代の集団がわんさか。ここしばらくの観光需要、外国人観光客が戻ってくるまではジジババが牽引するみたいですね。


 なお、前回の反省点が「けっして旅先で呑みすぎるてはいけない」。飲食関連のお話につながるイベントは避けてきたため、とてもノンアルコールな内容になっております。


ざっとした御説明(2022年12月上旬の情報です)

 世界中の有名な絵画などの陶版複製品を展示している美術館。とにかく巨大で、ウィキペディアのよれば国内第2位の規模だそうです。なぜ鳴門海峡のすぐ近くで、陶板による複製なのかと調べてみれば、故郷の観光振興であるとか特産の資源を用いた製品作りといった話に結びつく、設立者の志しが反映されたためとのこと。集客、集金だけを目的にした単なる「バチモノの殿堂」などとは決して侮ってはいけないのでした。


アラカンの個人的な感想

 入り口がある一番下のフロアには、古代の墳墓の石室やイタリア・ルネッサンス期に建てられた礼拝堂を再現した部屋があり、VRデバイスでは感じることが出来ない臨調感を楽しむことができたように思います。そろそろ気力・体力・財力に翳りが見えてきたアラカンにとって海外旅行は夢物語になりつつあるので、チョット嬉しい体験になりました。
 また、バチカンのシスティーナ礼拝堂等、本物を見学したことがある部屋ありましたが、本物は神聖な祈りの場であるためとか、壁画の保存のためといった理由で照明がなかったり、空調がなかったりといった感じ。隣の人と軽く言葉を交わしただけで彫りの深い顔をしたお兄さんにキッチリと注意されたりもしてきましたので、気楽に楽しめるという点ではこちらの美術館の圧勝でした。(でもやっぱり本物見に行きたいです(笑))


オススメするとするならば

 渦潮で有名な鳴門海峡がすぐそこです。ただし、観潮船乗り場は歩いて行くには遠く、橋の下部を歩ける「渦の道」の入り口がある鳴門公園まではそれなりの高低差があるので、脚腰に不安がある方々は路線バスの利用することになると思います。バスは本数がかなり限られているようでしたので、事前に良く計画を立てておくことをオススメします。また、潮の流れが弱い時間帯に行くと、単に橋がかかっている狭めの海峡を眺めて帰ってくることになりますので、潮の満ち干の時間に合わせた計画にしておくのがよろしいかと存じます。


私はこうやってたどり着いた
 徳島阿波おどり空港の正面入り口を出た車寄せ左手から、鳴門公園行きの路線バスで直行しました。美術館の目の前にバス停がありましたので、到着後に迷う心配はないでしょう。危ないのは空港を出るところ。美術館が運行するバスではない普通の路線バスで、飛行機が遅れても待ってくれません。私がこのことを知ったのは、30分近く遅れた到着直後のトイレの中。発車まで3分もない状態でバス停の様子を写真に撮る余裕もありませんでした。空港がもうチョット大きかったら、間に合わなかったと思います。

71. 華やかな飲屋街を越えるのがチョット辛いかな - 町田市立国際版画美術館(東京都町田市)

 アラカンが住む神奈川に一番近い東京というか、神奈川に食い込んでいる東京の街、それが町田市です。小田急線で通り過ぎることは度々あって、車窓から町田駅の近くの公園を眺めては「いつかは遊びに行きたいものだ」と思っていたのですが、町田駅で下車することはあっても周囲に立ち並ぶ無数の飲食店に突き刺さってしまい、公園まで行くことはありませんでした。しかし今回は、Googleマップで敷地の中に美術館があることを知ったこともあり、「飲み屋で一杯は帰り道で」と固く心決めて出かけてみました。


ざっとした御説明(2022年12月上旬の情報です)

 「市の文化の中核」となるべく1986年に開設された美術館だそうです。1階に受付、コインロッカー、喫茶室、市民ギャラリーに版画工房、アトリエなどがあって展示室は2階。企画展示用の部屋が二つの他に「常設展示室」と名付けられた部屋があって、こちらでは美術館に所縁のあるらしい版画家のミニ企画展が開催されていました。
 外観からもわかるように建物は大きく、展示室3つでテニスコートが3, 4面は撮れそうな上に、資料室、講堂、会議室などもあって、規模の点では「市の文化の中核」との位置付けに相応しい施設だと感じました。


アラカンの個人的な感想

 静かでゆったりとしていて、落ち着いた雰囲気の美術館でした。絵画を鑑賞するために美術館を訪れることが多いアラカンですが、彩色された版画には興味があるので、これからも訪れる機会はあるのではないかと思っています。


 以下、些細なことなのですが・・・。
 アラカンとしては、公立の美術館は地域住民が美術品に触れるためのギャラリーとしての機能に特化したものと、墨田区の北斎美術館のように地域の文化的な背景に根差したものに両極化しているように思っています。当初はこの美術館は後者だろうと予想していたもので、この美術館ならではの常設展示を、その由縁を学びながら楽しめるのかと期待していました。しかし、『何故、町田市の文化の中核に「国際版画」の名が冠されたのか』についてを明らかにした資料が見つからず、ちょっとだけモヤモヤしています。


オススメするとするならば

 この美術館は小田急線の車窓からも見える公園の中、線路と反対側の端にあります。静かで綺麗な公園ですので、併せて楽しまれることをお勧めします。アラカンが訪れた時は初冬で椿の花や散り残った紅葉がとても綺麗でした。喫茶室で栗入りのパンとチャウダーのセットを食べてから公園を抜けて町田駅まで戻ったのですが、駅周辺の喧騒からは想像もつかない、とても穏やかで落ち着いた時間を過ごすことができました。

 施設のホームページや街中の看板に従った経路は自動車で行くのに適した経路になっているようで、歩道がなく道幅が狭い割に車通りが多い箇所がありました。そこで、徒歩で行かれる場合は町田街道から芹ヶ谷公園に横から入る経路を使い、遠回りせずに公園の散策を同時に楽しむことをオススメします。アラカンの帰路は公園の反対側まで行ってから小田急線沿いに町田駅へ戻るコース。以下、振り返りながら撮影してきた写真で再構成したものを紹介させていただきます。


私はこうやってたどり着いた
小田急小田原線町田駅のホームから直接百貨店の中へ

百貨店の中を新宿方面へ突っ切って東口へ

エスカレーターを降りたら右方向へ

細い路地へ左折して入ります

変則の十字路を直進

しばらく歩いて大きな通りへ出たら横断してから左折

目指すは跨線橋のたもと

跨線橋を渡らず右折

ちょっと行くと公園入り口への下り坂

階段を下りて公園内へ

細長い公園の反対方向へ向かって散策していくと、最後に目的地


70. 東京は変わり続けるんだなぁ - SOMPO美術館(東京都新宿区)

 このブログは展覧会や美術館賞の感想ではなく、美術館そのものを訪ねた時の印象をまとめたものであるため、同じ施設を複数回にわたって取り上げたことはこれまでありませんでした。しかし今回は、以前に取り上げた時とは建物が全く変わってしまった美術館のご紹介で、そういうことなら2度目もありかと思って取り上げてみました。


ざっとした御説明(2022年11月上旬の情報です)

 「第15回」で取り上げた高層ビルの最上階にあった美術館が地上におり、名前もちょっと変わった美術館。入り口を入った1階にコインロッカーと受付、2階がミュージアムショップと休憩スペース、展示室は3, 4, 5階で、チケット購入、受付を済ませたらエレベーターで5階に昇り、1階づつ降りてくるのが順路。各階の展示スペースはテニスコートを少し広くしたくらいで、3つ合わせると移設前と同程度の面積ではないでしょうか。
 壁も照明も白が基調で明るく、外壁もピッカピカだったことが印象に残っています。



アラカンの個人的な感想

 新しくて綺麗で、とても質素で落ち着いた空間でした。質素という点は徹底していて、休憩室の飲み物が階段ホールの自販機だけといったあたりは、地方都市の市民ギャラリーや区立の美術館を上回る簡素さ。「ひまわり」が展示されているためか1階ホールでは警備員の姿が前面に押し出されていて、損保会社の美術館というイメージにある意味ピッタリ。美術品を鑑賞するという目的には必要にして充分な施設なのですが、移設前の窓からの眺望から感じられた非日常感が、ちょっと懐かしかったです。それと、所蔵品の展示スペースがあまり変わっていないか、もしかしたら少し減って寂しくなっているように感じたけれど気のせいかも知れません。


オススメするとするならば

 アラカンが自分だけで都内を歩き回るようになって40年ほどになります。その間、東京の街並みは大きく変わり、新宿駅界隈でも南口や東京都庁が移設したあたりは大きく変わったものの、西口付近の眺めには昔の面影が残っているように思っていました。しかし、10年の工期が予想される「新宿グランドターミナル構想」に基づく工事で、その眺めもいよいよ見納めとなるようです。噂では小田急デパートがあるあたりには都庁よりも高層のビルが立つと予定とか。新宿駅西口に思い出がある皆さん、懐かしむなら今のうちのようです。


私はこうやってたどり着いた
 行き方は「第15回」に書いたものと「今のところ」同じですが、再開発工事に伴って通行止めになる箇所が適宜発生する可能性があります。そのため、事前に美術館のホームページで経路を確認しておくことをお勧めします。