アラカンの逝く前に行ってみた

主に美術館巡りかな

コペンハーゲンの美術館 - デンマーク

 コペンハーゲンでびっくりしたのが中央駅の真ん前にある「チボリ公園」。東京駅の丸の内駅前広場に絶叫マシンを並べた感じ。クリスマスの電飾も始まっていて綺麗ではあったのですが、宙釣りブランコのタワーの高さやジェットコースターの捻れ具合はおぞましい程で、「身の毛がよだつ」という感じがぴったり。バイキングの末裔、侮りがたし…、でした。


ニイ・カールスベルグ・グリプトテクト美術館

 カールスベルグは日本語読みではカールスバーグ。有名なビール会社の名前で、グリプトテクトは彫刻の陳列館ということらしいです。ビール会社の創始者あたりが集めたコレクションを陳列するために建てた施設のようで、19世紀終わりから20世紀初頭のフランスの有名な画家が描いた絵画もありましたが、展示の主力はエジプト、ギリシャ、ローマあたりの古い遺物でした。建物の中に庭園があったり、ギリシャ神殿風の広間があったりで、彫像にあまり興味がないアラカンも楽しく時間を過ごせました。

 

 広間での催し物では集客のためにカールスバーグのビールが振舞われていたのですが、係のお嬢さんが手渡してくれたカップは下の写真で、まぁ常識的な量。ところが、手酌で次々と瓶を空にする人も複数人いて、ここでも、バイキングの末裔侮り難し、とか思ってしまいました。


ヒアシュプロング美術館

 こちらはタバコで財を成したヒアシュプロングさんのコレクションがコペンハーゲンに寄贈されたものだとか。こじんまりとした展示スペースにデンマークの画家の作品が展示されていましたが、日本人には馴染みが薄い画家、作品ばかりかなと思いました。
 面白いなと思ったのは展示方法。展示スペースの半分くらいは日本でいう6畳間くらいの小部屋の連なりになっていて、部屋ごとに椅子がいくつか置いてありました。その椅子に座って壁一面に並べられた絵画を眺めていると、ちょっと贅沢な気分になれて、かなり良いと思ったのですが、お客さんが少なめじゃないと成り立たない方法かもしれません。


デンマーク国立美術館

 巨大でゴツイ印象の外観。鉄筋コンクリート作りの新館が後ろ側に巧みにつながっていて、展示スペースがとてつもなく広い美美術館でした。

 上の写真の左側が新館で現代美術で、こちらにはムンクにピカソ、ジョルジュ・ブラックあたりから現在までの作家の作品の展示でオブジェが多数。で、右側が古典なのですが、日本でガイドブック等を見た限りでは、有名な作品はそれほどないんじゃないかと思っていたのですが、なんとヴィンチ村のレオナルドさん風の作品を発見。説明書きを見たら、やっぱりダ・ヴィンチ。

 アラカンが見て歩いたところでは、ルーカス・クラナハ親子、プリューゲル、ヒエロニムス・ボッシュ、ルーベンス、レンブラント、ダ・ビンチ、フィリッポリッピ、エル・グレコ、ティントレット、バザーリ、ベルニーニ、アンリ・マチス、モジリアーニ等々、かなりの有名どころの絵画がずらり。特に、アンリ・マチスはたくさん展示されていたように思います。それと覚えたばかりのフランス・ハルスも見つけました。観光名所の宮殿も近いので、時間があれば寄ってみることをお勧めしたい美術館でした。


旅の終わりに
 アムステルダムからジェット機で北東に移動した際に、アムステルダムで雨を降らしてくれた寒冷前線を飛び越えてしまいました。北欧でも天気は西から東へと変わるということで、コペンハーゲンではその寒冷前線から、またまたの連日の雨。アムステルダム同様、コペンハーゲンカードで無料で入れる美術館、博物館とかを渡り歩いて過ごすことになりました。美術館巡りが趣味で良かったです。


デン・ハーグ、ロッテルダムの美術館とおまけ - オランダ

 朝から晴れた4日目は旅行中の小旅行、OV-チップカールトというICカードに「全国共通一日乗車券」をチャージしてデン・ハーグとロッテルダムへ。ちょうど、JR九州が九州内の鉄道と福岡の地下鉄、熊本の路面電車、鹿児島の市内短距離バス共通の1日乗り放題乗車券を発売しているといったところ。お得かどうかは微妙だけれど、列車を間違えて200kmくらい一気にあらぬ所へ連れて行かれても切符の買い直しがいらないとか、市内移動時のバスに何度乗り間違えても小銭がなくならないといった安心感が良かったです。(カナダ、ドイツでやっちゃった経験があります。)
 さて、日本で言う所のハーグ、あちらではDen Haagには高層ビルと坂道があって、オランダって全土が地盤の悪い低湿地かと思っていたアラカンはちょっとビックリ。

 ちなみに現在のオランダの首都はアムステルダムですが首都機能はデン・ハーグに集中しているとのことで、王宮や各国の大使館、国際司法裁判所なんかもこちらにあるということでした。


デン・ハーグ市立美術館

 街の中心部からは離れていて徒歩で行くにはちょっと難しい場所にありますが、国際司法裁判所と同じバス路線上にあるのでセットにして訪れる事ができます。
 モンドリアンという幾何学模様を組み合わせた絵画で有名な画家のコレクションが充実していて、若い頃に描いた写実的な作品から幾何学模様の組み合わせに至るまでの過程を知る事ができる展示になっていました。それと、ここでも現代美術の展示は多く、服飾関係の展示も含めると古典絵画の展示スペースを上回っていました。広いカフェスペースには巨大なオブジェがあり、展示室によっては静かな音楽も流れていたりして、日本の西洋絵画中心の美術館とはかなり趣が違うように感じました。


マウリッツハイス美術館(デン・ハーグ)

 市中心部の池のほとりの小さな美術館ですが、規模の割にはとても有名な美術館。建物の見た目は17世紀の古くて小さなものなのですが、チケット売り場やクロークなどは地下に作られていて狭さは感じませんでした。

 フェルメール、レンブラントといったあたりの常設展に加え、企画展も定期的にやっているとのこと。アラカンが訪れた時はイギリスのカントリーハウス(御屋敷)に飾られているオランダ絵画の展示をやっていました。「ケンウッドハウスのフェルメールやレンブラントが来ていれば凄いんだけど….」とか期待してしまいましたが、流石にありませんでした。
 普段は地元のパン屋のイートインなんかで昼食を済ます事が多いのですが、カフェに寄って白ワインと暖かいキッシュなんぞいただいて、気分は相当に舞い上がっていたように思います。


ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館(ロッテルダム)
 当初の予定では、マウリッツハイス美術館の次はフェルメールゆかりのデルフトへ立ち寄るつもりだったのですが、好天の明るさに浮かれてロッテルダムへ。駅前には高層ビルもありましたが、トラムで5分も離れれば、水辺があるオランダのイメージそのままの静かな街でした。

で、水辺の歩道をプラプラ歩いていて出くわしたのが、これ。

 オランダの人って、キュビズムとかデザイン性が高いオブジェとかが、本当に好きなんじゃないでしょうか。少なくとも、古典から現代までの作品に違いをおかず、一連のものとして捉えているように思います。
 展示スペースは白を基調とした広々とした部屋が多かったのですが、入り口付近には壁一面に絵画を並べた昔ながらの展示方法も見られました。今回訪れた美術館の中では、ここだけだったように思います。


おまけ(デルフト)
 アムステルダムへの帰路の途中になるデルフトで途中下車。ファルメールが「デルフトの眺望」を描いた場所と言われているデルフトの東門付近へ。

 2012年、アラカンが海外旅行や美術館巡りを始めた頃に東京都美術館で「マウリッツハイス美術館展」が開催され、アラカンはそこで初めてフェルメールがデルフトのマルクト広場の周囲で生涯を送ったことや、「デルフトの眺望」に描かれている門と似ているところが現在もあることなどを知りました。

 その頃の私には直行便で行った街から更に陸路を独力で移動することなどとてもできそうになく、デルフトの東門や広場に立つなんてことには、諦めにも似た感覚を持った事を良く覚えています。
 冷や汗、あぶら汗にまみれながらの数年間を思い出して感慨にふけりつつ、旅の前半を終えました。50歳を過ぎて海外旅行を始めたおじさんでも、諦めなければなんとかなるもののようです。


ハールレムの美術館 - オランダ

 オランダ3日目の朝はまたしても霧雨。とは言っても、現地の人は傘もささずに歩く程度の降りなので、観光旅行らしく「オランダの明治村」ことザーンセスカンスへ風車を見に行きました。しかしながら、着いた頃には風も吹きつつのまともな雨で、10時になってもあたりは暗い…。

そこで一人旅の柔軟さで予定変更、アムステルカードが使えて濡れずに済む「列車+美術館」をメインとして残りの時間を過ごす事にしました。行った先はハールレムという高い建物は教会の塔くらいという小さな街。下の写真は駅近くの商店街。

跳ね橋のかかる運河や大きな教会がある広場やなどもあって、アムステルダムとはまた違った魅力のある街だと思いましたけど、雨まじりの風が体も心も冷やしてくれて観光気分は今ひとつだったかな。


テイラー美術館
 チケット売り場で「ここは現代美術の美術館で古い絵画の美術館は別にあるんだけど、ここでいいのか?」と念を押されました。というのも、外観がこれ。

古典的な外観とは裏腹に建物の中は白を基調とした明るい展示室が5つほど。絵画だけではなく、オブジェあり、コラージュありで古典は皆無の徹底した現代美術専門の美術館でした。次に立ち寄ったフランス・ハルス美術館と併せる事で、新旧を展示する一つの美術館といったコンセプトのようでした。


フランス・ハルス美術館

 ハールレムにあるもう一つの美術館。こちらは17世紀の肖像画家の美術館なんだけど、入り口近くの飾り付けが上の写真。ぱっと見はこちらの方が現代美術の美術館っぽいのではないでしょうか。テーラー美術館で念を押されたのも納得です。
 さて、日本ではあまり知られていないフランス・ハルスですが、レンブラントと同じ頃に活躍した肖像画の大家という事でした。「言われてみれば」というところなのですが、このあと訪れた美術館で度々作品を目にしたので、美術史的に重要な作家なのは確かなようです。
 チケット売り場では「アムステルダムカードで入場できるのは常設展示3室だけで、感激するには足りないから8ユーロ払って企画展を見ていきなさい。」と強く勧められ、失礼がないように丁重にお断りするだけの英語力がないアラカンは不承不承に8ユーロ払いました。けれど、企画展ではハルスの影響を受けた印象派の画家たちの模写やゴッホの有名な肖像画(ボストン美術館所蔵のものとか)を鑑賞でき、結局のところはリーズナブルなお値段でした。