アラカンの逝く前に行ってみた

主に美術館巡りかな

74. 目黒駅から徒歩1分です - 久米美術館(東京都品川区)

 美術館巡りを始めた頃は、国立西洋美術館や東京都美術館で開催されるような大規模な展覧会でも鑑賞時間は1時間もかからず、電車賃を無駄にすまいと2, 3館を梯子するのが常でした。それが最近では1枚の絵の前で「あ〜わからん」とか思いながら立ち尽くすことも増えてきて、大規模な展覧会では後半まで体力がもたず、2回目の鑑賞を考えることもあるようになってきました。いっぺんに100点近くも展示するのって、「もう一回来てね」という主催者の策略なんでしょうか。そういえば期間途中で展示を入れ替えたりすることもあるわけで、あながちではないかもしれませんね。


ざっとした御説明(2023年2月上旬の情報です)

 幕末から明治の始めにかけて活躍した久米親子を記念した美術館で、御尊父は佐賀藩出身で岩倉使節団の一員、御子息は黒田清輝と同時期にパリに留学、後に東京美術学校開校時に教壇に立たれたのだそうです。こう書くとかなりの方々なわけですが、恥ずかしながらアラカン、この美術館に行ってはじめてお二方のお名前を知った次第です。
 JR目黒駅から徒歩1分のビルの8階、卓球台を2, 3台置いて試合ができそうな展示室が1つと受付があるだけの、とてもこじんまりとした美術館でした。


アラカンの個人的な感想

 御子息が描かれた油絵と、御尊父が残された歴史的に価値がありそうな資料類の展示を基本とし、年に一、二度ほどテーマを決めて展示品を入れ替えているようです。アラカンが訪れた時には黒田清輝など明治初めの画家の絵も数点展示され、さらには御子息が描かれた黒田清輝の肖像画なども鑑賞することができて、ちょっと嬉しかったです。小さな展示室に展示品が30点余りと無理なく鑑賞できて、しかも入館者はアラカンだけ。都心の一等地で、静謐で贅沢なひと時を過ごすことができました。ビルや美術館の名前からすると、子孫の方が所有されているビルの一角で、商売抜きで運営している美術館なのでしょう。


ちょっとしたオマケなどなど 
 久米美術館だけでは流石に物足りないという方はには、近場なら目黒区美術館、東京都庭園美術館、松岡美術館が、お隣の恵比寿には東京都写真美術館があります。都会にお住まいの方々ならば、林試の森公園、国立科学博物館附属自然教育園で緑に囲まれて過ごすのはいかがでしょうか。また、目黒寄生虫館、目黒不動尊や戦前に建てられた医学関係の研究施設の建物を再利用している港区立郷土歴史館などもあり、ゆったりとした時間を過ごせる施設には事欠きません。アラカンはこの一年で7回ほど、目黒駅で降りて遊んでました。


私はこうやってたどり着いた
JR東日本目黒駅中央改札を出たら左方向へ

西口を出て右方向へ

最初の交差点を左へ

交差点の角に立つビルの8階が目的地

ビルへの入り口は目黒駅を背にビルの左側

73. 緑のクマさん、白い象さんがお出迎え - 練馬区立美術館(東京都練馬区)

 美術館という名の施設にも色々あって、国立、都立の超本格化から喫茶店の店主が自分の作品を店内の壁に並べているだけのものまであります。訪ねる側の基準であれこれ言っても仕方がないのですが、最近ではSNSでの口コミなどもあって事前にかなりの情報が収集できてしまうので、行かずとも大凡のところは想像がついてしまうのが良し悪し。時には調べすぎて行く前に興味を失ってしまうこともあり、あくまでもアラカンの個人的な感想ですが、「地方自治体が建設した美術館」はちょっと危険。「どう読んでも公民館じゃん!?」という投稿を目にすることは多々あるし、行ってみたらその通りということもあります。それでも良い意味で予測が外れた時は嬉しくて、またいそいそと出かけてゆくのでした。


ざっとした御説明(2023年1月下旬の情報です)

 入り口を入ってすぐ正面に図録も売っているチケット売り場。古いスタインウェイのピアノが置かれたロビーの奥に小さな展示室が一つと階段の上にもう一つあるようでしたが、上の方は区内の小学生の図工作品展が開催されていたので詳細は不明です。喫茶室やレストランは無く、ちょっと見は美術館という名の区民ギャラリーとか公民館といった感じでした。


アラカンの個人的な感想

 ぱっと見は美術館らしくないものの、練馬に縁がある作品の収集や地元在住の芸術家が企画した展示会を開催するなど、活動は本格的な美術館でした。アラカンが訪れた時にも明治から昭和初期の油彩数点と、現代アートの芸術家がそれらの作品に触発されて描いた新作が展示されていて、時間は短かったですが十分に楽しむことが出来ました。建物の前の公園のオブジェ群も含め、近隣の住民が年に数度、気軽に楽しめるとても良い施設なのだろうなというのが感想です。


ちょっとしたオマケなどなど

 最寄り駅である西武池袋線中村橋駅の周囲にはこれといった観光アイテムは見当たらず、もう少し範囲を広げて探して見つけたのが「石神井公園」。季節の変わり目などにニュースでよく見かける公園です。太田道灌が攻め落とした城址もあるということでしたが、都会の中に人間の手をなるだけ加えていない水場を残しているところが魅力の公園という印象で、神奈川の海沿いでも格段に人口密度が低いところで暮らしているアラカンがもう一度訪れることはなさそう。次に池袋線を利用する時は、池袋の駅で見かけた特急に乗って秩父までカッ飛んでみたいです。


私はこうやってたどり着いた
西武池袋線の中村橋駅からスタート
改札を出たら秩父に向かって右方向へ

駅舎を出たら左方向へ

高架線路に沿って直進

右手に動物のオブジェがある公園が見えたら公園の中へ

白い象とカラフルなキリンの間を左方向へ

階段を昇って2階へ

左手に入り口

72. 静な里山の美術館 - 徳島県立近代美術館(徳島県徳島市)

 これは個人的な感想なのですが、日本人が洋画を描いたり仏像以外の芸術品としての彫像を造るようになったのは幕末、明治の始まりからのことなわけで、日本の芸術家の作品をコレクション、展示の中心とする美術館は、明示的に名のるかどうかは別として「近(現)代美術館」になりがちだと思われます。一方、在住だった、あるいは出身だった芸術家の作品を遺族から寄贈されたことをきっかけにして開設された美術館というのは良くあるようなので、もしかしたら地方の美術館ほど近現代の作品の収集、展示が中心とになた「近(現)代美術館」になっているのではないかと想像しています。今年訪れた北海道、徳島の美術館はいずれも「近代美術館」。今後さらに日本各地の美術館を巡って確かめてみたいです。


ざっとした御説明(2022年12月上旬の情報です)

 徳島市の中心部から程遠い徳島県文化の森総合公園自然の中にある美術館で、公園内のメインの建物の2階に他の二つの施設と一緒にありました。入場券販売機や受付は施設ごとになっていて各スペースの入り口にありましたが、建物の入り口に案内所があって説明を受けることが出来たので迷うことはありませんでした。

 展示のスペースは大きく3つに分かれていて、屋外に彫像、屋内では徳島にゆかりがある画家や作品を展示したコレクション展と、テーマを設定した特別展が開催されていました。静かで適度に明るかったことが印象に残っています。余談ですが、正面入り口の横には喫茶室があって施設会館の前から開店してモーニングサービスをやっているとのことでしたが、起床後すぐに朝食を摂りたいアラカンは利用しておらず、サービスの中身は不明です。


アラカンの個人的な感想

 図書館、博物館、美術館、イベントホールが一ヶ所にあるのは利用者としては便利で、運営する方もコストが削減できて良いのだろうなと思いました。広場や山中の森の中の散策路もあるようで、こんな施設がアラカンが住む街にも欲しいと思いましたが、考えてもみれば県庁所在地にある県内で唯一の施設なわけで、そのようなものがポコポコとそこいら中にできるわけはないですね。
 県民のための施設と言うことで、自家用車で行くことが前提と思われる立地が観光客にはちょっと辛かったですが、広々として綺麗な展示室で徳島ゆかりの作品を鑑賞できて旅の良い思い出になりました。


オススメするとするならば

 建物周囲の広場や散策路は、帰りの飛行機の時間が迫っていて残念ながら見送り。美術館の向かい側の「徳島県立鳥居龍蔵記念博物館」(別料金、でも格安)を見学して帰路につきました。明治時代の徳島県出身の文化人類学者の人となりや業績を紹介していて、ざっくりというと、明治の初めの頃の日本列島周辺の民俗調査というか探検、冒険の記録を見学することが出来ます。展示を見ながら海外旅行への憧れが沸々と湧き上がってくるのを感じたアラカンでした。


私はこうやってたどり着いた
 美術館のホームページではいくつかの経路が紹介され、Googleマップでの検索でも条件にの違いによって異なる経路が出てくるようです。それらのうち、JR四国の「文化の森駅」やそのすぐ近くにある「法花大輪」のバス停を利用するものは、1kmを越えて歩く事になるので時間がない旅行客には向かないと思いました。(帰り道に歩いてしまいました・・・)
 スマホのナビゲーションに不慣れな方は、徳島駅前のバス乗り場にある案内所に相談して往復の経路を確定してからお出かけになることをお勧めします。


徳島駅前の「3番バス乗り場」から一宮線、しらさぎ方面のバスに乗って「馬場」で下車。

徳島駅方面へ少し戻って、十字路を右折して直進

突き当たりのスロープを登って大きな道へ

道路を横断して青い欄干の橋へ

橋を渡って道なりに進めば目的地