アラカンの逝く前に行ってみた

主に美術館巡りかな

69. 牛のお肉(希少部位ですね)とは関係ありません. - たましん美術館(東京都立川市)

 前回でとりあげた「青梅市立美術館」を訪ねた帰り道のことです。まっすぐ帰宅するには時間が余り気味だったものの立川の記念公園に立ち寄れるだけの時間はなく、立川駅の近くの繁華街でも歩いてみることにしました。そこで、何か面白いものはないかと揺れる電車の中でスマホを取りだしてGoogleマップをつらつらと眺めて見たのですが、なんと駅と記念公園の間に美術館らしきものを発見できてラッキー!。でも訪問するには僅かながらためらいが感じられてしまいました。「たましん」って一体なんなんだぁ!?。「しんたま」なら牛肉の希少部位、ドリフターズの悪ふざけギャグならタマXンなわけすが、どちらも美術館とは縁遠いもの。揺れる小さなスマホ画面は老眼には向かなくて詳細を調べる気にはなれず、結局はマップのナビを頼りに建物の前まで行って、ようやく納得しました。


ざっとした御説明(2022年11月上旬の情報です)

 「多摩信用金庫」の本店ビル1階に併設された美術館。正面入り口を入ってすぐの所のエスカレーターの裏手にチケットの自動販売機や受付がありました。展示室の広さはテニスコート二面分ほどでしたが、パーティションの壁面を利用して展示スペースは十分。アラカンが訪れた企画展では油絵だけで30点を越える作品が展示されていました。ミュージアムショップやカフェ・レストランの類は見当たりませんでしたが、繁華街のど真ん中なので不要と言えば不要ですね。


アラカンの個人的な感想

 信用金庫本店の中に併設された美術館と聞くと、窓口があるホールの壁面が展示スペースになったようなものを想像してしまいがち。しかし、ここは銀行の窓口はエスカレーターで登った2階にあって、1階フロアはほぼ美術館とかなり気合が入った作りになっていました。常設展示はないものの企画展は近隣の国立市に縁がある画家の作品展示でアラカン的には好印象。八王子、立川あたりはアラカンが住む相模湾沿いからは相模線、ちょっと回り道をして横浜線、南武線を利用すれば意外と近い地域で、多摩森林科学園や昭和記念公園などに年に1、2回は遊びに行っています。これからは帰り道にこの美術館にも立ち寄ってみるつもりです。


オススメするとするならば
 昭和の中頃に生まれたアラカンが立川と聞くと「ベトナム戦争と立川の在日米軍基地」をついつい思い出してしまうのですが、現在の立川駅の周辺の賑わいには米軍基地跡地らしき面影はありません。美術館の周辺には現代美術のオブジェが並ぶ広場や通りの両側におしゃれな店が並ぶペデストリアンデッキなどもあって、ブラブラと歩くだけで気分が明るくなります。広大な昭和記念公園とセットなら、半日は軽く遊べるんじゃないかと思います。


私はこうやってたどり着いた
JR東日本の立川駅北改札口から北口へ

駅舎を出たら左方向、モノレールの方へ

多摩モノレールの北立川駅の下へ

モノレールの下を直進

モノレールを潜り抜けたらエスカレーターで地上へ

歩行者専用の広い道を直進したら左手に目的地

68. ベッドタウンの市民ギャラリー、でいいのかな?- 青梅市立(小島善太郎)美術館(東京都青梅市)

 青梅はコロナが蔓延する前の2017年くらいに訪れていて、半日程度を遊んで過ごすにはちょうど良い観光地という記憶がありました。今回は開催されていた企画展示に興味があっての再訪で、ついでに紅葉を見て、街をブラブラと歩いて昼食でも取ってと考えていたのですが、ちょっとビックリ。街の雰囲気からは観光地のハレの感覚は感じられず、大きなマンションも見受けられるベッドタウン。街の在り方が随分と変わっているのに驚きました。観光、飲食業の厳しい状況を報道で見聞きしてはいましたが、日本人が一斉に取り組んだ行動自粛が社会に及ぼした影響の大きさを、改めて目の当たりした一日だったように思います。


ざっとした御説明(2022年11月上旬の情報です)

 1階にチケット売り場と喫茶室というか喫茶店、2階にバレーボールコート程度の展示室が二つあって、展示室の一角に小島善太郎氏の紹介文と作品が数点展示されていました。アラカンが訪れた時には特別展が開催されていましたが、普段は市民ギャラリーとして使われているのではないかと思います。


アラカンの個人的な感想
 23区内の区立の施設と比較すると建物が大きく、展示スペースもゆったりとしているように思いました。ただし、常設展示は「零ではない」といった数です。5年ほど前に訪れた青梅の街には、鉄道公園、赤塚不二夫記念館、昭和レトロ、「猫」を目玉に観光客を呼び込もうとしている雰囲気があったのですが、現時点では気に入った企画展でも開催されていないと訪れる機会はないかもしれません。下を流れる川沿いには公園があって秋はそれなりに色づくようですので、「紅葉は見たいが御岳の公園まで行くのは面倒」という方がちょっと立ち寄ってみるには良い場所にあると思います。


オススメするとするならば

 鉄道公園までは行ってみたものの、それでも時間を持て余し気味になったら、帰り道に立川の昭和国営記念公園に立ち寄ってみるのはいかがでしょうか。青梅線を東京方向へ戻って西立川駅で電車を降りると公園の「西立川口」がすぐそこ。この入り口からならば、立川駅側の正面入り口からではかなりの距離がある公園中央部がすぐそこです。池をぐるっと回って正面入り口へ向かえば、一筆書きで立川の繁華街を抜けて立川駅北口へ辿り着けます。


私はこうやってたどり着いた
JR東日本の青梅駅の一ヶ所だけの出入り口をを出たら正面の道を直進

大きな通りを渡って狭い道へ

坂道を下ったところに十字路があり、その先のT字路を右折
一つ手前の十字路を右折した方がわかりやすいかも

左手にJRの社宅が見ながら直進

大きな道路に出ると正面右側に目的地

67. お金持ちの道楽の極みを見たかも - DIC川村記念美術館(千葉県佐倉市)

 かつて東京都現代美術館の開館にあたって、石原慎太郎元東京都知事が現代美術に対して辛辣なコメントを発したという話を聞いたことがあります。インスタレーションやマルチメディア作品が苦手なアラカンとしては、ついつい同意しちゃいそうなご意見なのですが、ルネッサンス期やフランス印象派の絵画も「描かれた時には最先端」だったと思うと、自分の感性が古すぎるだけなのではないかとか、ちょっと考えてしまいます。
 意地悪な見方をすれば超売れっ子小説家として世に出た元東京都知事としては、氏が残された小説は「書かれた直後にはイーリアス級の歴史に残る超古典だった」と自負されていたと受け取れる発言でもありますが、他方、多額の税金を投じる公立の施設ですから首長としては納税者の眼を気にしなければばならない訳で、そんな大きなバイアスがかかった発言だったとしても仕方がないところ。


 まぁ、やりたい事を思う存分やるなら資金は自分の財布から出しておくのが無難ですね。


ざっとした御説明(2022年10月下旬の情報です)

 化学関係の大企業のオーナー社長さん達(もちろん御一族)が蒐集した美術品を展示している美術館。敷地は広大で噴水のある大きな池、ヘンリー・ムーアの彫像がある広場、森の中を行く散策路があって、そのお隣には会社の総合研究所とてんこ盛り。美術館の展示も対象が広く、レンブラントやフランス印象派の絵画から始まってアメリカ現代美術の絵画、オブジェ、インスタレーション、写真などなどと、これまた多彩。
 1、2階に分かれた展示スペースは共に体育館級の広さで、コレクション品の他に企画展示も同時開催可能。レストランやギャラリーショップは別棟と、都心の美術館では感じることができない開放感に溢れた施設だと思いました。


アラカンの個人的な感想
 アラカンが訪れた時には、2階の展示室には大振りの現代美術作品がズラーっと並んでいました。カラフル、かつ、ベニア板4枚分はありそうな作品に囲まれる体験というのは、日本国内の美術館では得難いものではないかと思います。現代の抽象絵画そのものには興味がないアラカンでも楽しめる展示室で、なんだかニューヨークやアムステルダムの美術館にいるような気分になれてとても嬉しかったです。さらには、マーク・ロスコという画家の作品を、画家が抱いていたコンセプト通りに展示するためだけの専用スペースなどもあって、自分の好きなものを自分の好きな方法で展示している感じ。そんなところが私設の美術館の良いところなのでしょうし、それをやっちゃっているところにお金持ちの道楽の極みを見たように思いました。


オススメするとするならば
 無料送迎バスの帰りの便の中には、佐倉市立美術館もしくは国立民俗学博物館を経由するものがあるようでした。これらの施設は旧城下街がある台地の両端にあり、これらを起点、終点として城址の公園、武家屋敷が並ぶ通りを経由するルートを徒歩で移動することができます。日帰りの限られた時間で一通りの観光をするにはとても便利ですので、市内観光を予定されている方は、事前にホームページでバス時間を確認して計画を立てておくことをお勧めします

私はこうやってたどり着いた
JR東日本総武線の佐倉駅から
改札を出たら左方向、南口へ。案内の看板が出ていました。

階段を降りたらまた左へ。ここにも案内看板。

駅舎を出てすぐのところに無料送迎バス乗り場

アンディ・ウォホールやモネの作品を使ったラッピングバスでおよそ20分

チケット売り場のすぐ近くまで運んでくれました