アラカンの逝く前に行ってみた

主に美術館巡りかな

67. お金持ちの道楽の極みを見たかも - DIC川村記念美術館(千葉県佐倉市)

 かつて東京都現代美術館の開館にあたって、石原慎太郎元東京都知事が現代美術に対して辛辣なコメントを発したという話を聞いたことがあります。インスタレーションやマルチメディア作品が苦手なアラカンとしては、ついつい同意しちゃいそうなご意見なのですが、ルネッサンス期やフランス印象派の絵画も「描かれた時には最先端」だったと思うと、自分の感性が古すぎるだけなのではないかとか、ちょっと考えてしまいます。
 意地悪な見方をすれば超売れっ子小説家として世に出た元東京都知事としては、氏が残された小説は「書かれた直後にはイーリアス級の歴史に残る超古典だった」と自負されていたと受け取れる発言でもありますが、他方、多額の税金を投じる公立の施設ですから首長としては納税者の眼を気にしなければばならない訳で、そんな大きなバイアスがかかった発言だったとしても仕方がないところ。


 まぁ、やりたい事を思う存分やるなら資金は自分の財布から出しておくのが無難ですね。


ざっとした御説明(2022年10月下旬の情報です)

 化学関係の大企業のオーナー社長さん達(もちろん御一族)が蒐集した美術品を展示している美術館。敷地は広大で噴水のある大きな池、ヘンリー・ムーアの彫像がある広場、森の中を行く散策路があって、そのお隣には会社の総合研究所とてんこ盛り。美術館の展示も対象が広く、レンブラントやフランス印象派の絵画から始まってアメリカ現代美術の絵画、オブジェ、インスタレーション、写真などなどと、これまた多彩。
 1、2階に分かれた展示スペースは共に体育館級の広さで、コレクション品の他に企画展示も同時開催可能。レストランやギャラリーショップは別棟と、都心の美術館では感じることができない開放感に溢れた施設だと思いました。


アラカンの個人的な感想
 アラカンが訪れた時には、2階の展示室には大振りの現代美術作品がズラーっと並んでいました。カラフル、かつ、ベニア板4枚分はありそうな作品に囲まれる体験というのは、日本国内の美術館では得難いものではないかと思います。現代の抽象絵画そのものには興味がないアラカンでも楽しめる展示室で、なんだかニューヨークやアムステルダムの美術館にいるような気分になれてとても嬉しかったです。さらには、マーク・ロスコという画家の作品を、画家が抱いていたコンセプト通りに展示するためだけの専用スペースなどもあって、自分の好きなものを自分の好きな方法で展示している感じ。そんなところが私設の美術館の良いところなのでしょうし、それをやっちゃっているところにお金持ちの道楽の極みを見たように思いました。


オススメするとするならば
 無料送迎バスの帰りの便の中には、佐倉市立美術館もしくは国立民俗学博物館を経由するものがあるようでした。これらの施設は旧城下街がある台地の両端にあり、これらを起点、終点として城址の公園、武家屋敷が並ぶ通りを経由するルートを徒歩で移動することができます。日帰りの限られた時間で一通りの観光をするにはとても便利ですので、市内観光を予定されている方は、事前にホームページでバス時間を確認して計画を立てておくことをお勧めします

私はこうやってたどり着いた
JR東日本総武線の佐倉駅から
改札を出たら左方向、南口へ。案内の看板が出ていました。

階段を降りたらまた左へ。ここにも案内看板。

駅舎を出てすぐのところに無料送迎バス乗り場

アンディ・ウォホールやモネの作品を使ったラッピングバスでおよそ20分

チケット売り場のすぐ近くまで運んでくれました