アラカンの逝く前に行ってみた

主に美術館巡りかな

80. 「文庫」の文は「文物」の「文」かな? - 永青文庫(東京都文京区)

 平塚市美術館で「細川護熙展」を観てきました。元内閣総理大臣で、政界を退いて以降は湯河原で作陶に打ち込んでいるという話は聞いていたのですが、展示によれば「京都の細川家に縁のあるお寺の襖絵を描いた」とのこと。どう育ったら「内閣総理大臣」を経験しつつ京都の古刹に襖絵を残すような芸術家になってしまうのか興味津々になって、細川家のに伝わるお宝を展示している永青文庫を見学してきました。


ざっとした御説明(2023年5月下旬の情報です)

 室町時代には日本史上に登場する細川家に伝来する歴史資料や美術品を展示している美術館。美術館ではなくて「文庫」と名乗るところに旧家の誇りを感じてしまいます。江戸時代に肥後藩江戸下屋敷があった場所で、高台に美術館、低地には池のある庭園。早稲田大学も近い建物が建ち並ぶ一帯ですが、鳥の囀りが聞こえる閑静な空間でした。


アラカンの個人的な感想

 施設の建物は細川家の使用人達の事務所だった建物らしいのですが、当時の主の終の住処ともなった建物。現在の東京では、幕政下での大名家であるとか帝国憲法下での華族というものが、とてつもない財力を持った存在だった事がわかる施設を見学することができます。ここもそんな施設の一つではあるのですが、敗戦後の占領政策の中で(少なくとも表面上は?)没落していった姿を偲ぶことができるという点に感慨を覚えてしまいました。ただし護煕氏は熊本県知事を越えて総理大臣にまで昇り詰めたわけで、室町時代から続く名家の血筋の中でも一番の出世頭とも言えます。しかも、氏は石庭で有名な京都・龍安寺の襖絵まで残してしまう芸術家でもあるわけです。
 平塚で観た湯河原に引っ込んですぐの作品からは「打ち込まずにはいられない」焦燥感のようなものも感じてしまいましたが、芸術家としても名を後世に残す存在となった現在の姿からは、家柄に寄りかかることなく、目線を高く保ちつつ自分を磨き続けてきた人物像を見てしまいます。「尊敬して措く能はず」って感じですかね。


ちょっとしたオマケなどなど

 永青文庫があるのと同じ高台、歩いて5分もかからないところに東京カテドラルがあります。ほぼ全体が金属で覆われて銀色に光る聖堂というのは、石造りが基本の「本場」からの観光客には面白いらしいです。そう言われてみれば、欧米の聖堂で銀色をしていたのは塔の屋根くらいだったような気もするのですが、海外旅行の経験はそれほど多くもないのでで確かなことはわかりません。「日本人にはピンとこないけれど海外からの観光客に人気のアイテムの見学」のために観に行くというのは臍曲がりが過ぎるわけですが、テレビで光の国の銀色の巨人達を観て喜んでいたガキンチョだったアラカンには十分楽しめる外観でしたのでご紹介まで。


私はこうやってたどり着いた
都電荒川線早稲田駅から

駅を出たら道路を横断して左方向へ

神田川にかかる橋を渡って直進

スーパーマーケットがある交差点で右折

突き当たりまで直進してから左折

交差点の有無行、右手に庭園の入り口

庭園に入ったら案内表示に従いつつ丘を登る

丸い石製のゲート(?)をくぐると、程なく目的地