アラカンの逝く前に行ってみた

主に美術館巡りかな

62. 私にとっては未だに謎の人です、柳宗悦は - 日本民藝館(東京都目黒区)

 テレビの美術番組を見ていると、「民藝運動」と「柳宗悦」に関する話題はよく目にします。「民衆が普段使いしている日用品」の中に「美術品に負けない用に則した健全な美」を見出して提示した運動、その提唱者のうちの一人らしいのですが、その生い立ちや人となりを詳しく取り上げた番組は残念ながら見た事がありません。どのような人がどのような目的で美術品を蒐集して一般に公開するに至ったのか、いつもモヤモヤ。今回訪れたのは、柳が蒐集した「民芸品」を展示するための建物と旧住居からなる施設です。


ざっとした御説明(2022年7月中旬の情報です)

 展示スペースである本館と、旧住居である西館からなる美術館。本館の開設は昭和11年だそうですので、日本の美術館の草分の一つなのではないでしょうか。下町ほど丸焼けになったわけではないようですが、山手でも原宿あたりには大規模な空襲があったらしいので現存しているのは幸運なことなのでしょう。建物は木造2階建てですが土蔵造りの瓦屋根で、日光から移築された長屋門に合わせただけかもしれませんが、もしかすると貰い火による火災には気を遣っていたのかもしれません。
 西館に入る事ができる曜日は限られているようですので、見学を希望される方は確認してから出かけることをお勧めします。


アラカンの個人的な感想
 個人が蒐集したものを展示した美術館となると、これまでに訪れた大概の施設は巨万の富を得た美術愛好家の遺産を展示するための施設でしたが、大学で教鞭を取ることを主な生業としていた柳宗悦自身はもちろん近親者にも大きな財産はなかったようです。施設開設にあたっての資金は大原美術館の創設者でもある実業家から出してもらったようですが、蒐集のための資金はもっぱら自腹だったようで、「民衆が普段使いしている日用品」を集めたとは言っても(特に奥さんの)苦労が偲ばれてしまいます。白樺派の中心メンバーの一人だったそうなので、美術に対する強い興味があって、しかもそれを広く啓蒙することに並々ならぬ熱意を持っていたということかなとは思いますが、アラカンにとって柳宗悦は未だに謎です。


オススメするとするならば

 民藝館へ行ったら、是非、脚を伸ばしてていただきたいのが隣の駒場公園内にある旧前田侯爵邸。日本に貴族階級が存在した時代に加賀百万石の血筋を引く侯爵様が「海外の要人をもてなす」事もできるように建てた、イギリスのカントリーハウス調の建物です。東京都庭園美術館では宮様が建てたアール・デコ様式のちょっと洒落た御屋敷を見学する事ができますが、こちらはイギリス後期ゴシック様式の「これぞ貴族の豪邸」といった感の建築で外観は厳つく内装は絢爛豪華、でも無料で見学できます。
 駒場と言えば東京大学のキャンパスや研究所がある場所として有名ですが、本郷キャンパスのような観光客が歩き回って楽しい場所では無いようですので、ご注意を。


私はこうやってたどり着いた
京王井の頭線駒場東大駅西口を出たら右方向

線路の反対側に出て緩い坂道を下北沢方向へ

民藝館と近代文学館の小さな案内看板がある交差点を直進

突き当たりを右折

道路右側に受付がある本館