アラカンの逝く前に行ってみた

主に美術館巡りかな

アメリカの美術館 - ニューヨーク


 ニューヨークは三度目で、いまさらMETでもないように思っていたのですが、これまでは近現代の作品を避けていたことを思い出して再々訪することにしました。その他、近現代の作品展示で有名なグッゲンハイム美術館、ホイットニー美術館にフェルメールの作品を観たかどうか記憶が定かでなかったフリック・コレクションも加えたら、ほぼ、美術館巡りで終わってしまいました。


グッゲンハイム美術館

 ガイドブック的には近現代の作品が多いことになっていますが、ほぼ現代美術が展示されていたように思います。ここを訪れるのは2度目で前回は「話の種に1度見とけば十分」と行った程度の感想しか持てなかった美術館で、強化合宿の成果を計るにはうってつけ。で、今回の感想はと言えば、残念ながら「ピンと来ない」でした。ジャコメッティ、モンドリアンと言った、名前や作風に馴染みのある作家の作品やゴーギャン、ロートレックといった人気の高い画家の作品も展示されていたのですが、なんだかワクワクしてこなかったのが自分としても不思議でした。

 帰国してから他の美術館などの写真とも見比べて思うには、螺旋状の通路沿いに作品が並び、ところどころに展示室への入口があるという独特の構造に馴染めなかったのかもしれません。


メトロポリタン美術館

 三度行っても美の迷宮。今回は2階のルネッサンスあたりまでのヨーロッパ絵画のエリアとと3階の展示室が閉鎖されていて、歩ける範囲は少し狭目だったのですが、やっぱり迷いました。館内mapであたりをつけた経路が閉鎖されていると、次を見つけるのがとても大変。近現代の作品は正面入り口から最も遠いところにあって、ショップやトイレがある廊下の向こう側。興味がなかった頃にたどり着くことがなかったのも仕方がなかったように思います。
 で、今回初めて辿り着いた近現代エリアなのですが、第一印象は「作品がデカくてカラフル」。一辺が2mを超えていそうなカンディンスキーとかって、他では観ていないように思います。グッゲンハイムに続いて訪れたのですが、こちらではワクワク感で一杯になってしまいました。見る人が見れば、展示作品の芸術的な傾向(?)などにそれなりの理由があるのかもしれませんが、アラカンのように「美術館に行く事が楽しい」人間にとって、デカくてカラフルな絵が展示室一杯に並んでいるという事に意味があるような気がしています。

 最後にフェルメールを写真に収めて、すっかりご機嫌になって「おやつ」の時間。地下のカフェでスパークリングワインとジャムを挟んだパイを食しましたが、甘い物だけでは済まなくなっているところが恐ろしいです。


ホイットニー美術館

 ここは初めて訪れた美術館。MoMAが改装のため閉館中だったり、近隣の観光地(ハイ・ライン)にも興味があったので選んで見ました。ガイドブックでは「近現代のアメリカ人画家による作品の展示が多い」となっていたのですが、アラカンの見る限りではコテコテのコンテンポラリー。デカくてカラフルで作品が多かったよう思います。

 「デカくてカラフル」な作品が並ぶアラカン好みの展示室でしたが、判るようなわからないような巨大オブジェが置かれた屋外のバルコニーからの眺めも秀逸。ローワー・マンハッタンやニュージャージーの高層ビルが綺麗に見えました。それにしても、高層ビルがマンハッタン島からニュージャージー、ブルックリン、クイーンズに溢れ出している姿は、壮観でした。5年ほど前にはほとんどなかったはず。


フリック・コレクション
 フェルメールの作品と言われている37点の作品のうち、11点がアメリカ東海岸の3つの美術館にあり、その3つ全部に訪れる機会に恵まれたことをに気がついて訪れることにした美術館。2度目の訪問なのだけど、前回はフェルメールというか西洋絵画にほとんど興味がなかった頃で、「確かに見た」という記憶が無かったので再訪したという次第。フェルメールについては・・・また別に書いてみたいと思っていますが、残念な出来事が沢山あることが最近わかりました。

 古典から印象派あたりまでの有名な絵画に加え、セントラルパーク近くの室内庭園付きの豪邸の凄まじさも楽しめる美術館ですが、アラカンとしてはホイッスラーの4枚の肖像画が展示された円形ホールの薄暗い雰囲気が大好きです。

 アメリカの美術館というか、アメリカのお金持ちの趣味についての感想なのですが、印象派を筆頭にフランス系の作品には惜しみもなくお金をかけている割には、海峡を挟んでお隣のイギリスにはかなり冷淡なように思います。ホイッスラーの作品は所々で見かけたことからすると、唯美主義の作風が嫌いなわけではなかったのだろうと思うのですが、じゃ、なんでだろうと思うと、不思議でなりません。


 主に近現代の作品に注目しながらの美術館巡りでしたが、フランス・ハルスの人気がアメリカでも高いことや、欧米の美術館に行くと宗教画の大作がルーベンスなみに多数展示されている"TITIAN"が「テッツィアーノ」であることを知ることができるなど、新たな成果(笑)も得られて、まずまず良い旅になりました。