アラカンの逝く前に行ってみた

主に美術館巡りかな

86. 静かな街の静かな美術館 - 資生堂アートハウス(静岡県掛川市)

 あまりの暑さに外出がためらわれ、公共交通機関と地下道を利用して辿り着ける施設ならばなんとかなるかと外出を試みると、大雨で鉄道が運休。2023年の8月はジジイが遊びに出かけるにはしんどい夏になってしまいました。この回を書いているの9月ですが、まだ暑いままで秋雨のシーズンに入ってしまったようです。昨今の大雨は地下街が水没しそうな勢いで降るので、どうしたものかと・・・。


ざっとした御説明(2023年8月下旬に訪問しました)

 静岡県掛川市にあり、開設が1978年、2002年にリニューアルと歴史ある美術館。第75回でご紹介した銀座のアートギャラリーが天井が高い地下空間なのに対して、こちらの展示室は受付があるエントランスホールを挟んで横に広がっていました。また、片側の展示室は照明を抑えた仄暗い雰囲気だったのに対し、もう一つは大きな窓からの外光がたっぷり取り入れられた空間。敷地の広さを十分に生かした作りになっていました。


アラカンの個人的な感想

 銀座のビルの地下のギャラリーとは違って、オブジェ、彫像が並ぶ広々とした緑地。建物自体が建築関係の賞を受賞しているとのことで、緑濃い丘陵地に静かに佇んでいる感じが、それだけでもうartisitic!。Googleマップの航空写真を見た感じでは工場の建物が並ぶエリアよりも、こちらの緑地の方が広そうな感じです。新幹線利用でも東名道利用でも気軽に立ち寄れる場所ではないところに美術館と企業資料館を建てた理由は調べてもわからなかったのですが、「そのような建物を建てるにふさわしい素敵な場所」であった事は確かだったと思います。この美術館自体は規模が小さくて、新幹線等を使ってわざわざ遠出していくには億劫な感じは否めませんが、お城が好きな人なら掛川城址とセットで訪ねてみてはいかがでしょうか。


ちょっとしたオマケなどなど

 暑い日だったこともあり、掛川駅の近くで地ビール(地酒でも可)が呑めるお店はないかと探したら、ありました。オープンテラスもあるカフェのようなお店で、食事ができて、缶ビールなどの販売もしていましたが、アラカンはグラスのビールを一杯だけ。若い頃なら夕食がてらの晩酌にしたように思いますが、無事の帰宅をためには致し方ないところがジジイの日帰り旅行ですな。


私はこうやってたどり着いた
私は徒歩でしたが、掛川駅の新幹線口からタクシーを利用するのがオススメ

東海道新幹線の側道を浜松方向へ20分ほど直進

不安になった頃に左手に溜池、もう少し

左手に赤い看板と入り口

85. 広くて平らな大地も楽しめます - 茨城県近代美術館(茨城県水戸市)

 アラカンが学生時代を過ごした仙台は、当時は東北本線と常磐線で上野とつながれて、夜行の寝台特急を中心にかなりの数の特急、急行が常磐線経由で運行されていました。そのためか大学には福島の浜通りはもちろんのこと茨城出身の学生もたくさんいて、何かというと「いしけー」と口にしていたのが懐かしくて思い出されます。東北新幹線が開通して常磐線経由の優等列車がなくなったり、大震災後の原発事故の影響で鉄道が分断されたりもしましたので状況は大きく変わっているのかもしれないです。時代が変わるのは仕方がないのですが、東京への一極集中が加速しただけかもしれないと思うと、少し切ないです。


ざっとした御説明(2023年7月下旬の情報です)

 ホームページを見ると基になる県立美術館が開設されたのが戦後間もない1947年と、とても歴史のある美術館。地階に講堂、1階に受付、レストラン、ミュージアムショップ等と共に常設展示スペース、2階には企画展示スペースとフル企画。茨城というと横山大観の出身地なのですが常設展示で特別扱いされるようなことはなく、数多くの画家の作品が展示されていたのが印象に残っています。本館隣には「中村彝(つね)」という画家の東京にあったアトリエが復元されていて、ボランティアの方の説明を聞きながら建物内部を見学することができたもの楽しかったです。緑に囲まれた、とても素敵な空間でした


アラカンの個人的な感想

 山らしい山は筑波山くらいという土地柄で偕楽園の駅側の一角、大きな池のそばという立地は広々としていて気持ち良かったです。今回は水戸駅の南口から直行しましたが、JR東日本の偕楽園駅から美術館を経由して水戸駅へ向かう経路も楽しそうです。できれば有名な梅の頃とか、外出が楽しい季節にもう一度訪れてみたいです。


ちょっとしたオマケなどなど

 茨城の醸造所で造っている「常陸野ブルーイング」のビールが好きで、東京駅の「常陸野ブルーイング Tokyo Yaesu」にちょくちょく立ちっています。水戸駅近くに呑めるお店もあるようなので立ち寄ってみることも考えたのですが、普段と違うものを楽しみたいのが旅の常。今回は水戸駅の改札口近くの「いばらきの地酒バー」で日本酒を(ぐい呑みで1杯づつ)2品種、改札内のお土産店で缶ハイボールを購入して楽しんできました。地酒の方はかなりの種類数が提供されていたのですが、日帰りの旅行で完全に出来上がってしまうのは「乗り越し」等々が怖いので自重しました。(笑) お酒を飲む習慣がない方は奥久慈のクリームパンはいかがでしょうか。「とろーり」がしっかりと冷えていて、とても美味しかったです。


私はこうやってたどり着いた
JR東日本の水戸駅南口からスタート

駅舎を出たら直進

橋を渡ったら右折して川沿いの堤防の上を次の橋まで

交差点を左折

「市役所入口」の交差点を渡ったら右折

橋を渡った先の交差点を渡ると偕楽園

軽く左へ曲がる道を「ザ・ヒロサワ・シティ会館」へむかう途中、右手が目的地

84. あのタワーの名は「泉屋さんのお宅の庭に建てた大きなビル」ということらしい - 泉屋博古館東京(東京都港区)

 このところ旧家や旧財閥関連の美術館を訪れる機会が増えていますが、今回は関西財閥の雄、「住友家」のコレクションを基にした美術館のご紹介です。本館は京都で、今回訪れたのは東京分館。いつかは本館にも行きたいのですが、所在地はインバウンドのお客様でごった返していると噂の京都。うーん、どうしよ。


ざっとした御説明(2023年7月上旬の情報です)

 泉ガーデンタワーのお隣、住友家の東京・麻布別邸跡地に建っている美術館。常設展示は無くて企画展だけですが、時折、住友家のコレクション展を開催しているようです。開設から20年ほど経っているようですが、2020年になってから建物や展示スペースを改修したとのことで「ピッカピカの新築そっくりさん」。静かな庭園とこぢんまりとしたカフェもあって、ガーデンタワー側の賑やかさとは一味違った空間になっていました。ちなみに、「泉屋」は住友家の屋号で、タワーの名前は「泉屋さんのお宅の庭に建てた大きなビル」ということになるようです。


アラカンの個人的な感想

 泉ガーデンタワーは仕事の関係で幾度も訪ねたことがあったのですが、丘の上まで登ることは全くなくて美術館があることも知りませんでした。同じ六本木エリアの国立の新美術館やサントリー美術館の大規模な企画展等は時折訪れていたので、おそらくはメディアへの露出度が控えめな美術館なのだと思います。下のオマケでも書きましたが、CMをバンバン打って人を集めるようなことをしない静かな美術館がいくつか集まっているエリアにあるので、これからは機会を逃さずに訪れてみたいと思っています。


ちょっとしたオマケなどなど
 泉ガーデンタワーからアークヒルズ、サントリーホール、ANAインターコンチネンタルホテルにかけては、空調がしっかりと効いた上に雨に濡れる心配ない空間が広がっていて、いつでも快適に時間を潰せます。あえて難点を上げるとすれば人が多いとこですかね。都内へ出かけておいて人が多いと文句を言っても仕方がないのですが、実はこの辺りには数多くの大使館や高級ホテル、公園などがあって、5分も歩けば驚くほど静かな空間にたどり着けます。今回は丘の反対側にある「菊池寛実記念 智美術館」のカフェで昼食兼休憩としました。途中には大倉集古館もあって、こぢんまりとした美術館三つを巡るのも楽しいです。


私はこうやってたどり着いた
東京メトロ南北線六本木一丁目駅で降りたら泉ガーデンタワーの方へ

エスカレーターと階段を使って丘の上へ

丘の上へ出たら橋を渡ります

左手に美術館のカフェが見えたらもう少し

左折して入り口へ