アラカンの逝く前に行ってみた

主に美術館巡りかな

デン・ハーグ、ロッテルダムの美術館とおまけ - オランダ

 朝から晴れた4日目は旅行中の小旅行、OV-チップカールトというICカードに「全国共通一日乗車券」をチャージしてデン・ハーグとロッテルダムへ。ちょうど、JR九州が九州内の鉄道と福岡の地下鉄、熊本の路面電車、鹿児島の市内短距離バス共通の1日乗り放題乗車券を発売しているといったところ。お得かどうかは微妙だけれど、列車を間違えて200kmくらい一気にあらぬ所へ連れて行かれても切符の買い直しがいらないとか、市内移動時のバスに何度乗り間違えても小銭がなくならないといった安心感が良かったです。(カナダ、ドイツでやっちゃった経験があります。)
 さて、日本で言う所のハーグ、あちらではDen Haagには高層ビルと坂道があって、オランダって全土が地盤の悪い低湿地かと思っていたアラカンはちょっとビックリ。

 ちなみに現在のオランダの首都はアムステルダムですが首都機能はデン・ハーグに集中しているとのことで、王宮や各国の大使館、国際司法裁判所なんかもこちらにあるということでした。


デン・ハーグ市立美術館

 街の中心部からは離れていて徒歩で行くにはちょっと難しい場所にありますが、国際司法裁判所と同じバス路線上にあるのでセットにして訪れる事ができます。
 モンドリアンという幾何学模様を組み合わせた絵画で有名な画家のコレクションが充実していて、若い頃に描いた写実的な作品から幾何学模様の組み合わせに至るまでの過程を知る事ができる展示になっていました。それと、ここでも現代美術の展示は多く、服飾関係の展示も含めると古典絵画の展示スペースを上回っていました。広いカフェスペースには巨大なオブジェがあり、展示室によっては静かな音楽も流れていたりして、日本の西洋絵画中心の美術館とはかなり趣が違うように感じました。


マウリッツハイス美術館(デン・ハーグ)

 市中心部の池のほとりの小さな美術館ですが、規模の割にはとても有名な美術館。建物の見た目は17世紀の古くて小さなものなのですが、チケット売り場やクロークなどは地下に作られていて狭さは感じませんでした。

 フェルメール、レンブラントといったあたりの常設展に加え、企画展も定期的にやっているとのこと。アラカンが訪れた時はイギリスのカントリーハウス(御屋敷)に飾られているオランダ絵画の展示をやっていました。「ケンウッドハウスのフェルメールやレンブラントが来ていれば凄いんだけど….」とか期待してしまいましたが、流石にありませんでした。
 普段は地元のパン屋のイートインなんかで昼食を済ます事が多いのですが、カフェに寄って白ワインと暖かいキッシュなんぞいただいて、気分は相当に舞い上がっていたように思います。


ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館(ロッテルダム)
 当初の予定では、マウリッツハイス美術館の次はフェルメールゆかりのデルフトへ立ち寄るつもりだったのですが、好天の明るさに浮かれてロッテルダムへ。駅前には高層ビルもありましたが、トラムで5分も離れれば、水辺があるオランダのイメージそのままの静かな街でした。

で、水辺の歩道をプラプラ歩いていて出くわしたのが、これ。

 オランダの人って、キュビズムとかデザイン性が高いオブジェとかが、本当に好きなんじゃないでしょうか。少なくとも、古典から現代までの作品に違いをおかず、一連のものとして捉えているように思います。
 展示スペースは白を基調とした広々とした部屋が多かったのですが、入り口付近には壁一面に絵画を並べた昔ながらの展示方法も見られました。今回訪れた美術館の中では、ここだけだったように思います。


おまけ(デルフト)
 アムステルダムへの帰路の途中になるデルフトで途中下車。ファルメールが「デルフトの眺望」を描いた場所と言われているデルフトの東門付近へ。

 2012年、アラカンが海外旅行や美術館巡りを始めた頃に東京都美術館で「マウリッツハイス美術館展」が開催され、アラカンはそこで初めてフェルメールがデルフトのマルクト広場の周囲で生涯を送ったことや、「デルフトの眺望」に描かれている門と似ているところが現在もあることなどを知りました。

 その頃の私には直行便で行った街から更に陸路を独力で移動することなどとてもできそうになく、デルフトの東門や広場に立つなんてことには、諦めにも似た感覚を持った事を良く覚えています。
 冷や汗、あぶら汗にまみれながらの数年間を思い出して感慨にふけりつつ、旅の前半を終えました。50歳を過ぎて海外旅行を始めたおじさんでも、諦めなければなんとかなるもののようです。